現在、軍事政権のパキスタンで「非常・・・に関する記事

質問
現在、軍事政権のパキスタンで「非常事態宣言」が発令されてます。「戒厳令」も似た様なものだと 思いますがこの2つの違い分かる方教えて下さい。

回答
 「非常事態宣言」も「戒厳令」も、法治国家において、戦争や大災害など、 国家の独立や安全が緊急的に危機状態におかれたときに、行政府が国家 緊急権に基づき発令する、一定の法律的・地域的範囲における、法的権利 の制限措置と解されます。要するに、退っ引きならない事態になっているので、 その事態をなんとかするために、ある程度国民の私権を制限したり、特定の 法律の効力を停止したりしちゃいます!ってことです。  国家緊急権利を、法的に認めるか否か、法律でどのように規定しているか によってもだいぶなかみがちがってきますが、一般に「戒厳令」というのは、行 政権・司法権などをもっぱら軍隊が掌握するという宣言をいい、「非常事態 宣言」は、軍以外の行政府がこれを掌握する場合をさすことが多いです。  このあたりは、その国法律によって規定されている内容がそれぞれ違います から、必ずしも一様ではないのですけれども。「戒厳令」は、臨戦状態で、 具体的に敵の攻撃がなされ、あるいはすぐに予想されるような混乱状態にお いて、その地域を守備する軍隊が、行政権・司法権を掌握するものです。 軍隊は、行政府の命令で戒厳令下の施政権を付与されている場合も多く、 戒厳令=クーデターではありません。  これに対して「非常事態宣言」の場合は、通常は、警察や軍隊を指揮下 に入れた行政府が、一定の私権を停止したり、平時の行政範囲を超えた 活動を行うことを許すというものです。  当面の危機事態の打開のために、外出やデモなどの私権が制限されたり、 家宅捜索や身体検査などが出来るようになる、あるいは、個人の土地や 財産の接収が認められるなど、どちらの場合でも、施策的には似たような物 になることは多いのですが、平時における緊急事態に対応する「非常事態宣 言」と、戦時における対応である「戒厳令」とは、法律的な性格には、それな りに違いがあるわけです。  ただ、現在のパキスタンの状況を、「クーデタで実権を握った悪の軍人 ムシャラフが、自らの権力維持のために、民主主義を求める民衆を弾圧して いる」と考えてしまうと、少々それは早計といえます。ニュースなどで出てくる 「民主化勢力」「議会勢力」とは、政治的腐敗と停滞故に、クーデタで倒 されたわけですから、クーデタを起こしたムシャラフのほうが、「開明派」と評 価される部分があります。  「民主化勢力」とされる、ブットやシャリフは、核開発やタリバンへの支援を 公然と行い、政治的にもイスラム原理勢力に近いのに対し、ムシャラフは、 イスラム原理主義勢力を排して、麻薬組織やテロ組織を叩いてパキスタンの 近代化と安定化に努め、インドやアメリカなどとの関係改善を行ってきました し、大統領の多選禁止も法定したりしていますから、我々の考えるような西 欧的な「近代的民主勢力」のイメージに近いのは、むしろムシャラフのほう ともいえ、実際、10月の選挙では圧勝しているのです。  また、ブットとムシャラフは政権運営上協力することを確認していますから、 ムシャラフとブットは、対立しながらも協力も出来る関係にあるのです。また、 最高裁判所はシャリフの帰国を許していますから、裁判所はシャリフ派だと もいえ、ブットを狙った自爆テロもおこっていますから、さらに状況は複雑です。  今回の戒厳令は、パキスタン国内の権力闘争と、イスラム原理勢力と世 俗主義勢力の対立、そしてタリバンやインドなどの外部勢力や国内犯罪組 織・テロ組織の介入など、きわめて複雑な背景があることにも、注意してお かなければなりません。

出典:Yahoo!知恵袋

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